【No195】「オンライン資格確認等システムの今後の拡大方針」について

 オンライン資格確認等システムの本格運用時期は当初、令和3年3月を予定していましたが、医業経営FPNews【No182】でご案内したとおり新型コロナウイルスの影響により10月まで延期となり現在はプレ運用が行われております。厚生労働省は顔認証付カードリーダーの申込が完了している多くの医療機関・薬局へプレ運用の参加を呼びかける「集中導入開始宣言(リスタート宣言)」を7月から行い、令和4年3月までに医療機関等の9割程度での導入を目標としています。

1.医療機関・薬局における「プレ運用」の状況

 厚生労働省の発表資料によれば、 現在実施している「プレ運用」には、732施設(6月21日時点)が参加しており、その後、随時参加機関を拡大しており、受付の業務の負担軽減などのメリットが挙げられている一方、マイナンバーカードを持参する患者が少ないことなどが課題として挙げられているとされています。

(1)導入のメリット

   導入のメリットとして、初診の患者の資格の入力の手間が大幅に減った、即時に資格の有効性が確認できるようになり、医療事務にとって手放せない機能になったとの声を医療機関等から頂いている。

(2)プレ運用における課題

 〇 システム的な課題として、システムのセットアップ時の課題(開始当初、設定に長時間要する、一部の設定で手間取る等)が多くを占めている。レセコンベンダーや通信事業者等と連携しながら適宜解消している。

 ※ プレ運用機関数が増加する中でも、アプリケーション等の改善や事業者側のノウハウが蓄積してきたことなどにより、システムに関する問合せ件数は減少傾向にある。

 〇 運用上の課題として、「マイナンバーカードを持参する患者が少ない」「職員が操作を覚えなければならない」などが挙げられている。

    厚生労働省 第143回社会保障審議会医療保険部会資料「オンライン資格確認等システムについて」より引用

 2.保険者の対応状況について

 厚生労働省によると、個人番号誤入力チェック機能を強化し、ヒューマンエラーが起こることを前提とした仕組みを構築し、制度を運用していくデータの正確性は担保されており、今後さらにデータの精度を高めていくとしています。

(1) 保険者が登録した個人番号の誤り 

 〇 3月31日より、システム的なチェックとして、過去に別保険者が登録した情報との差異がある場合に検知する仕組み(「マイナンバー」+「生年月日」で突合)を実施中。

 〇 中間サーバー等(運用支援環境)への新規登録者(新生児等)をチェックするため、定期的に住基ネットへの照会を行い、誤りの可能性が高いものについては、各保険者において修正。

 〇 さらに6月末からは、中間サーバー等(運用支援環境)への新規登録者を検知したうえで、自動的に住基ネットへ照会するなど、システム的なチェックを強化する。 

(2)その他

 〇 請求に必要となる証記号番号・保険者番号関係については、保険者において優先的に対応。また、当面、審査等で返戻しない扱いとしており、医療機関・薬局に影響はない状況。

 〇 保険者が個人番号を把握していない者について、住基ネットへの照会により個人番号を取得することを基本としたうえで、必要に応じて事業主や本人に確認をするよう対応中。

 制度を運用していくデータの正確性は担保されており、引き続き、実際の運用を通じて、さらにデータの精度を高めていく。

厚生労働省 第143回社会保障審議会医療保険部会資料「オンライン資格確認等システムについて」より引用

3.今後の方針について

 厚生労働省の発表によると、本番環境によるサービスが開始されており、制度を運用していくデータの正確性も担保されていることを踏まえ、本格運用開始から参加機関数を増やすのではなく、7月から本格運用開始までを「集中導入期間」と位置づけ、参加機関数を大幅に広げていくとしています。またデータの正確性や導入のメリット、マイナンバーカードの普及状況等について発信し、多くの医療機関・薬局に早期参加を呼びかける「集中導入開始宣言(リスタート宣言)」を7月に行い、プレ運用を拡大していくための各種促進策を行うものとしています。

 厚生労働省 第143回社会保障審議会医療保険部会資料「オンライン資格確認等システムについてより引用

4. 顔認証カードリーダー等の申込状況

 オンライン資格確認等システム導入に必要な医療機関向けポータルサイトのアカウント登録数及び顔認証付きカードリーダー申込数は医業経営FPNews【No182】で記載した令和3年3月28日時点から令和3年7月4日時点での推移は以下のとおりです。

厚生労働省 オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)より引用

                             (文責:税理士法人FP総合研究所)