【No262】医療機関に対する物価高騰対策支援金について

 医療・介護・福祉施設(以下「医療機関」という)の多くは、診療報酬など公定価格で運営されているため、光熱費や食料品価格等の高騰による影響を価格転嫁できずに厳しい経営状況となっています。このような状況を踏まえて医療機関への影響を緩和し、医療提供体制を維持することを目的として各都道府県において物価高騰対策支援事業が実施されています。

1.物価高騰対策支援事業の概要

 令和4年9月9日に「第4回物価・賃金・生活総合対策本部」が開催され、物価高騰に対する追加策等が示されました。追加策では、臨時交付金の増額・強化として

 ・予備費を措置しつつ既存予算も活用して6,000億円規模の「電力・ガス・食料品等価格高騰地方交付金」を創設し、

 ・電力・ガス・食料品等の価格高騰への対応により重点的に活用されるよう、効果的とされる推奨事業メニューを地方自治体に提示する

 こととされ、推奨事業メニューとして「医療・介護・保育施設、公衆浴場等に対する物価高騰対策支援」が推奨されていました。

内閣官房「物価・賃金・生活総合対策本部 令和4年9月9日議事次第・資料」参照

 具体的な支援対象や金額は国ではなく都道府県が決めることになっており、補正予算で対応する自治体が多いため、詳細の発表が待たれている状況でした。

2.大阪府での取り扱い

 各自治体ごとの支援対象及び、支援金額、要件についてすべてをご紹介することは難しいため1例をご紹介させていただきます。

 大阪府では保険医療機関(病院、診療所)、保険薬局、助産所、並びに指定訪問看護事業所に対して、

 ・令和5年1月1日現在において支給対象施設として運営していること

 ・申請日時点において、廃止・休止の予定がないこと

 を要件として支援金を支給することを決定しました。

 支給額は以下の通りになります。 

 ただし、以下の医療機関等は対象外となるためご注意ください。

 1.国または地方共同体が開設者である医療機関(指定管理を含みます。)

 2.介護保険適用の訪問看護のみを行っている指定訪問看護事業所

 なお、申請受付期間は令和5年1月10日から令和5年2月10日までとなっています。

大阪府ホームページ「大阪府医療機関等物価高騰対策一時支援金について」参照

3.申請上の注意

 上記、大阪府のように一定時点において、申請自治体内で運営されている保険医療機関であれば、大半が支給対象となりますが、細かな要件については各自治体ごとに異なっていますので、必ず公式サイト等でご確認ください。

 また、申請様式についても、公式サイトで自らダウンロードする自治体もあれば、支給対象施設に対して自治体から申請書が郵送されている場合もあります。

 なお、下記参考表にも記載があるように、令和5年1月中に申請期限が到来する自治体もありますので、申請要件、申請様式、提出方法及び申請期間をご確認のうえ、お早めにご提出ください。

 また、今回ご紹介しました都道府県が実施する物価高騰対策支援事業とは別に市町村単位で物価高騰対策支援事業をおこなっているケースも散見されます。この場合、どちらの支給要件にも該当する場合は重複して申請することが可能であるか別途確認が必要となります。そちらについてもあわせてご注意ください。

実施自治体 申請期間 公式サイト
大阪府 令和5年1月10日から令和5年2月10日まで リンク
京都府 令和4年12月1日から令和5年1月31日まで リンク
奈良県 令和4年12月19日から令和5年1月27日まで リンク
和歌山県 令和5年1月31日まで リンク
神奈川県 令和4年12月19日から令和5年2月17日まで リンク
千葉県 令和4年12月27日から令和5年2月28日まで リンク
群馬県 令和4年12月15日から令和5年1月31日まで リンク
愛知県 令和4年12月21日から令和5年2月28日まで リンク
福岡県 令和4年11月1日から令和5年2月28日まで リンク
北海道 令和4年12月19日から令和5年1月31日まで リンク

(文責:税理士法人FP総合研究所)