【No315】医療法人の事業報告書等の届出及び経営情報等の報告の徹底について

厚生労働省は、令和6年3月1日に各自治体に対し、医療法人の事業報告書等の届出及び経営情報等の報告を徹底することを求める事務連絡を発出しました。医療法人は、毎会計年度終了後3か月以内、外部監査対象の医療法人は同じく4か月以内に、事業報告書及び医業経営FPNews No.290で取り上げました経営情報等の報告を行わなければいけませんが、遅延等が生じているケースも多くあります。厚生労働省はこうした状況の改善のために、上記事務連絡を発出し、各自治体に指導・監督の徹底を求めておりますので、その内容をご案内します。

1.現在の提出状況

厚生労働省による令和6年1月10日付事務連絡「医療法人の経営情報の報告について」によると、既に報告時期を迎えている令和5年8月決算法人は6,458法人(G-MIS医療法人マスタによる。)であるのに対し、このうち令和5年12月末時点で報告のあった法人は1,581法人(うちG-MISによる報告567法人、書面の電子化受託事業者に送付1,014法人)となっており、全体のわずか4分の1程の提出にとどまっています。

厚生労働省 令和6年1月10日付事務連絡「医療法人の経営情報の報告について」 参照

2.厚生労働省から各自治体への取組要請

厚生労働省による令和6年3月1日付事務連絡「医療法人の事業報告書等の届出及び経営情報等の報告の徹底について」において、下記の取組が各自治体へ要請されています。

(1)事業報告書等の届出及び経営情報等の報告の状況確認

令和6年1月4日付事務連絡「医療法人の事業報告書等の届出状況等について」において、届出状況の報告を各治体に依頼しており、その報告を基に提出状況や未届法人等の属性が確認できるようにしているため、最新の状況に更新することを要請しています。

(2)未届法人等への指導・監督の徹底

事業報告書等の届出又は経営情報等の報告に遅延等が生じている場合には、まずは書面にて状況の確認を行うなどの適切な対応を要請しています。また、書面等の送付では状況が改善されない場合には、医療法第64条第1項等に基づき、適切な措置を行うなどの対応を要請しています。

なお、医療法第64条第1項等では、指導に従わない医療法人に対し、期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は役員の解任を勧告することができると規定されています。

(3)休眠状態にある医療法人への対応

医療法第65条では、都道府県知事は医療法人が病院等をすべて休止又は廃止した後、正当な理由なく引き続き1年以上病院等を開設しない場合は、当該医療法人の設立認可を取り消すことができるとされています。長期間にわたって事業報告書等の提出がなく、連絡を取ることもできない状況にある医療法人については、上記規定に基づき適切な対応を行うことを要請しています。

厚生労働省 令和6年1月4日付事務連絡「医療法人の事業報告書等の届出状況等について」 参照

   厚生労働省 令和6年3月1日付事務連絡「医療法人の事業報告書等の届出及び経営情報等の報告の徹底について」 参照

3.さいごに

今般の厚生労働省による事務連絡を受け、各自治体は未届法人等へ何らかのアプローチを開始していくことが予想されます。前述の医療法第64条第1項等の規定の適用を受けないためにも、現在、事業報告書等の届出又は経営情報等の報告が未了の医療法人におかれましては速やかに届出を行われることをお勧めします。なお、書類の作成方法については、医業経営FPNews No.290をご確認ください。

(文責:税理士法人FP総合研究所)