【No1059】青色申告特別控除の改正内容

令和8年度税制改正により、2027年(令和9年分)から青色申告特別控除が改正されることとなりました。今回はこの改正内容についてご紹介させていただきます。

1.青色申告特別控除とは

所得税において、事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者※に対しては、一定の要件を満たせば、その所得金額から一定額を控除できる制度です。

※青色申告者になるためには、次の手続きが必要となります。

【対象者・手続き】

事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき業務を行う方(非居住者の場合には業務を国内において行う方)のうち、青色申告の承認を受けようとする方は青色申告承認申請書を納税地を所轄する税務署長に提出しなければなりません。

【提出時期】

青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日(非居住者の場合には事業を国内において開始した日)から2月以内。)に提出する必要があります。なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。

ただし、青色申告の承認を受けていた被相続人の事業を相続により承継した場合は、相続開始を知った日(死亡の日)の時期に応じて、それぞれ次の期間内に提出する必要がありますのでご注意ください。

死亡時期 提出期限
その年1/1~8/31まで 死亡の日から4か月以内
その年9/1~10/31まで その年の12月31日まで
その年11/1~12/31まで その年の翌年の2月15日まで

 

2.改正内容

改正前後の青色申告特別控除との内容をまとめると次のとおりとなります。

収入金額 改正前 改正後
(2年前) 【簡易簿記】 【簡易簿記】 【複式簿記+e-Tax】
1,000万円超 10万円 0円(控除なし)

65万円又は

75万円※1‣2

1,000万円以下 10万円

(注)改正前は複式簿記・e-TAXを利用せず申告書を紙提出している場合は、青色申告特別控除は55万円でしたが、今回の改正により廃止されることとなりました。

※1 不動産所得に関しては、収入区分が1,000万円超である場合、事業的規模の方のみ控除対象外となり、業務的規模の方は、改正前と同様に最大10万円の控除を受けることができます。なお、業務的規模の方は、複式簿記に移行したとしても、控除額は簡易簿記の場合と同様に最大10万円となります。

【事業的規模と業務的規模】

不動産の貸付けが事業として行われているかどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかによって、実質的に判断します。この判断が非常に難しいものであることから、国税庁は1つの例示として次のとおり不動産所得について事業的規模か業務的規模(事業的規模以外)かの判定基準を示しています。

この判定基準に当てはまらない場合などは事業的規模には該当せず、基本的には業務的規模と判断されることとなります。

建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業的規模として行われているものとして取り扱われます。(いわゆる「5棟10室基準」といわれるものです。)

・貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。

・独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

※2 改正後の65万円控除の要件(複式簿記+e-Tax)に加えて、請求書データ等との自動連携や訂正削除履歴の記録など一定の要件を満たす優良な電子帳簿を作成及び保存している場合には、最大75万円の控除を受けることができます。こちらの詳細については弊所法人部の過去の企業経営FP Newsに記載されていますので、ご参考ください。(https://www.fpsoken.or.jp/fpnews/business-fpnews/no558/)

3.まとめ

今回の青色申告特別控除の改正により、従来であれば青色申告承認申請書を提出していれば10万円の控除を受けることができていた方については、ご自身の行っている事業が2年前の収入金額が1,000万円超で、かつ事業的規模である場合には青色申告特別控除の恩恵を受けることができなくなります。

まだ改正の影響がすぐに出るわけではありませんので、このタイミングで複式簿記やe―Taxなどの導入を検討し、改正後でも青色申告特別控除の恩恵を受けることができるように対応することが重要になってきます。

複式簿記を指導してくれるところとしては、「青色申告会」や「商工会/商工会議所」などがあります。(ただし、いずれも会員向けのサービスとなります。詳細は最寄りの青色申告会や商工会/商工会議所にご確認ください。)

また記帳・決算説明会や外部委託による記帳指導を税務署でも行っておりますので、一度相談されてはいかがでしょうか。

(文責:税理士法人FP総合研究所)