【No739】令和3年度税制改正大綱より~住宅取得等資金の贈与税の非課税~

 令和2年12月10日に発表された令和3年度税制改正大綱では、住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例の現行制度の拡充や適用要件の一部見直しが行われています。今回その見直しが行われた非課税限度額や床面積要件について、住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例の内容と合わせて解説します。

(1)内容

 20歳以上(その年の1月1日現在)の者が、平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属から自己の居住の用に供する一定の家屋の新築、取得(家屋とともに取得する土地等の取得を含みます)又は増改築等の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます)の贈与を受けた場合において、一定の要件を満たすときはその住宅取得等資金のうち非課税限度額までの金額について贈与税が非課税とされる制度です。

 この非課税制度を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、贈与税の申告書にこの特例の適用を受けようとする旨の記載をしたうえ、一定の書類を添付して税務署に提出する必要があります。

 なお、適用する非課税枠は売買契約日等契約締結日で判断しますが、住宅の取得・入居時期及び贈与税の申告期限は、あくまで贈与を受けた年の翌年3月15日までとなりますのでご注意ください。

(2)非課税限度額

 この非課税制度につき、令和3年4月1日から令和3年12月31日までの間に住宅用家屋の新築等に係る契約を締結した場合における非課税限度額が、下記のとおり、令和2年4月1日から令和3年3月31日までの間の非課税限度額と同額まで引き上げられます。

1 省エネ等住宅とは、省エネ等基準(①断熱等性能等級4若しくは一次エネルギー消費量等級4以上であること、②耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上若しくは免震建築物であること又は③高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること)に適合する住宅用の家屋であることにつき、一定の書類により証明されたものをいいます。 

東日本大震災の被災者に適用される非課税限度額は省エネ等住宅:1,500万円、左記以外の住宅:1,000万円。

(3)床面積

 受贈者が贈与を受けた年分の所得税に係る合計所得金額が1,000万円以下である場合に限り、床面積要件の下限が40㎡以上に引き下げられます。

 なお、特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度及び東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度についても同様の取扱いとなります。

1 住宅取得等資金の非課税制度は、贈与を受けた年分の合計所得金額が2,000万円以下である受贈者であることの要件がありますので、実際には1,000万円超2,000万円以下の受贈者が該当します。

東日本大震災の被災者には、床面積の上限(240㎡以下)の要件はありません。

(4)適用時期

 上記の改正は、令和3年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用されます。

(担当:平田 竜二)