【No830】令和2年分の国外財産調書の提出状況について

 №698の資産税FPNewsでご紹介した国外財産調書の提出状況について、令和2年分(令和2年12月31日時点)の提出状況について、令和3年6月末までに提出されたものの集計が国税庁から公表されていましたので、ご説明します。

(1)国外財産調書制度の概要

 国外財産を保有される方が年々増加している状況に伴い、国外財産に係る課税の適正化が喫緊の課題となっていることから、その年の12月31日において5,000万円を超える財産を国外に保有する居住者は、翌年3月15日までに財産の種類、数量及び価額などの事項を記載した「国外財産調書」を税務署長に提出しなければならないとされています。

(2)令和2年分の国外財産調書の提出状況

 前年と対比した①総提出件数、②総財産額、③財産の種類別総額の推移は、次表のとおりであり、年々増加傾向を示しています。

 令和2年分については、提出件数は微増なものの、財産額は減少しています。これは、新型コロナウィルス感染症の影響を受けて有価証券が大きく減少していることが要因であると推測されます。

 国税庁では、国外財産の把握に努めるべく、各国税局管内に専門部門が置かれ、重点的に国外財産を捕捉できるような体制づくりを進めています。自己の資産の開示には抵抗を示される方もいるかと思いますが、適正な提出を確保するために『加算税の軽減措置』や『加算税の軽減措置』『罰則の適用』の特例措置等が設けられていますので、計上漏れのないように調書の提出をご検討ください。        

 なお、令和4年の税制改正大綱にて、①令和5年分以降の提出期限については、提出期限が翌年6月30日(現状は翌年3月15日)へ変更、②提出期限後で調査通知前に提出(令和6年1月1日以降)される国外財産調書については、調査があったことにより更正又は決定があるべきことを予知してされたものでないときは、提出期限内に提出したものとみなされる、③令和5年分以降提出されるものについては、その他の動産の区分に該当する家庭用動産として取得価額が300万円未満(現状は100万円未満)であれば記載不要である他、記載方法については運用上見直しが予定されています。                                  (文責:税理士法人FP総合研究所)

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