【No859】令和4年分の路線価が発表されました

 令和4年7月1日に国税庁より令和4年分の路線価が公表されました。各地区の路線価の詳細等は、国税庁のホームページで閲覧することができます。現在ホームページには、平成28年から令和4年までの7年分が掲載されています。

(国税庁の路線価の閲覧ページ:https://www.rosenka.nta.go.jp/

(1)路線価とは 

 路線価とは、土地の価格がおおむね同一と認められる一連の土地が面している路線ごとに評価した1㎡当たりの価額をいいます。相続税や贈与税の申告のための財産評価を行う際の便宜及び課税の公平を図る観点から、毎年国税庁より公表されています。

 毎年1月1日を評価時点として、地価公示価格、売買実例価額、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基として算定した価格の80%を目処に評価されます。

(2)令和4年分路線価の動向

 路線価の全国平均は2年ぶりに上昇し、前年と比べて0.5%プラスに転じました。主な理由としては、新型コロナウイルスの感染拡大による自粛生活等の行動制限が緩和されたことで、観光地や繁華街などで人流増加への期待が高まっていることなどが挙げられます。

 また、令和4年分の都道府県庁所在都市の最高路線価が発表され、上昇した都市は15都市(前年8都市)で、下落したのは16都市(前年22都市)となりました。近畿圏においては、昨年は和歌山を除きすべての都市でマイナスとなりましたが、今年は京都や大津がプラスに転じ、やや持ち直しつつあるものの、新型コロナウイルスの感染拡大前に比べるとまだまだ回復したとはいえない状況です。

 なお、都道府県庁所在都市の最高路線価が全国で最も高かったのは、今年も東京都中央区銀座の鳩居堂前で、37年連続1位となっていますが、前年を1.1%下回り、2年連続の下落となりました。

<令和4年分の都道府県庁所在都市の最高路線価 一部抜粋>                                                                 (1㎡当たり)

(3)東日本大震災により被災した地域の路線価等について

 東日本大震災により被災した地域についても原則として路線価等が定められています。

 ただし、令和4年1月1日現在において、原子力発電所の事故に関する「帰還困難区域」に設定されていた区域内にある土地等については、路線価等を定めることが困難であるため、令和3年分と同様に、相続税、贈与税の申告に当たり、その価額を「0」として差し支えないこととされました。

(4)今後の動向について

 昨年は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自粛生活等による経済活動の縮小や訪日客の受け入れができなかったことなどによる観光地でのインバウンドの縮小等により、新型コロナウイルス感染症の影響が色濃く反映された路線価でした。

 令和4年は、再開発事業が地価上昇をけん引している北海道や福岡、また、新型コロナウイルスの影響による住環境の変化により地方への移住が進む白馬村(上昇率は全国最高の20.0%)などについては大きく路線価が上昇しています。反対に、観光地でのインバウンドに大きく依存する大阪や神戸は、路線価の下落基調が続いています。諸外国が相次ぎ外国人観光客を受け入れ始め、ようやく日本も訪日客の受け入れを再開しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大前の状況まで回復するにはまだ時間を要するものと予想されます。ただ、関西に関しては、2025年に大阪・関西万博が開催される予定で、ホテルの建設や都市開発が引き続き行われています。来年以降も新型コロナウイルスの感染状況やそれに伴う経済の動向を引き続き注視していく必要があります。

(文責:税理士法人FP総合研究所)