【No338】海外勤務者が日本国内に不動産所得を有するときに注意すること

 海外勤務をしている人が日本国内に所在する不動産等を貸付けている場合には、確定申告が必要となります。海外に住む非居住者(日本国内に「住所」又は現在まで引き続き1年以上「居所」を有しない人。)が注意すべき点をまとめてみました。

1.納税義務者の区分と課税所得の範囲及び課税方法

 海外勤務が一年を超える場合、非居住者としての区分に該当します。課税所得の範囲は国内源泉所得となり、課税方法は源泉徴収のうえ、総合課税となります。不動産を貸付け、賃料収入を収受する際に源泉徴収されている税金は、支払月の翌月10日までに税務署に納付されています。(注1)確定申告で税金関係を精算します。

(表1)納税義務者の区分と課税所得の範囲・課税方法の概要

(注1)非居住者や外国法人(以下「非居住者等」といいます。)から日本国内にある不動産を借り受け、日本国内で賃借料を支払う者は、法人はもちろん個人(事業者かどうかは問いません。)は「非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書」という納付書により支払った月の翌10日までに納付しなければなりません。非居住者等への支払金額が50万円を超える場合には、法定調書の提出が義務付けられています。なお、不動産の賃借料のうち、土地、家屋等を自己又はその親族の居住の用に供するために借り受けた個人が支払うものは、源泉徴収をする必要はありません。

2.非居住者等に支払う所得の種類と源泉徴収税額

 非居住者等の有する国内源泉所得のうち、非居住者等の恒久的施設(注2)に帰せられる所得(以下「恒久的施設帰属所得」といいます。)については、総合課税の対象又は法人税の課税の対象とし、恒久的施設帰属所得以外の国内源泉所得については、国内にある資産の運用又は保有により生ずる所得などを除いて源泉徴収のみで課税関係が終了する仕組みとされており、非居住者等(今回は個人の場合)に係る課税関係の概要は表2のようになります。(所法164)

 なお、支払い先の国と租税条約が結ばれている場合には、「租税条約に関する届出書」を支払いの日の前日までに所轄税務署に提出することにより免税又は税率が軽減される場合があります。

(注2)「恒久的施設」とは、一般的に、「PE」(Permanent Establishment)と略称されており、次の3つの種類に区分されています。国税庁のタックスアンサー№2883を確認してください。

①非居住者等の国内にある事業の管理を行う場所、支店、事務所、工場、作業場等又はその他事業を行う一定の場所。

②非居住者等の国内にある建設、据付けの工事又はこれらの指揮監督の役務の提供(以下「建設工事等」といいます。)で1年を超えて行う場所(1年を超えて行われる建設工事等を含みます。)。

③非居住者等が国内に置く代理人等で、その事業に関し、反復して契約を締結する権限を有し、又は契約締結のために反復して主要な役割を果たす者等の一定の者(以下「契約締結代理人等」といいます。)。

(表2)非居住者に対する課税関係の概要

3.海外勤務者の給与所得について

 日本にある本社から支払われていても勤務地が外国である場合、原則として日本の所得税は課税されません。しかし、実務では、海外勤務で得る給与以外に日本国内を源泉とする給与所得が発生する場合もあります。その場合には、20.42%の源泉が徴収され、課税関係は終了します。給与支払者は、支払月の翌月10日までに税務署に納付する義務があります。

 なお、海外勤務者が内国法人(本店又は主な事務所が日本国内にある法人をいいます。)の役員として国外で勤務した場合には、その給与は、日本国内で生じたものとして、支払を受ける際に20.42%(所得税20%、復興特別所得税0.42%)の税率で源泉徴収されます。使用人とは取扱いが異なりますので注意が必要です。

(文責:税理士法人FP総合研究所)