【No227】令和4年度診療報酬改定について

 令和4年度診療報酬改定について、3月4日に厚生労働省からその改定内容が告示され、令和4年4月1日から適用されています。今回はその改定内容の中から外来において広く関わりのある項目についてご紹介します。

1.令和4年度診療報酬改定の概要

 (1)診療報酬 +0.43%

  ※1 うち、※2~5を除く改定分+0.23%

   各科改定率 医科+0.26%

         歯科+0.29% 

         調剤+0.08%

  ※2 うち、看護の処遇改善のための特例的な対応+0.20%

  ※3 うち、リフィル処方箋(反復利用できる処方箋)の導入・活用促進による効率化▲0.10%(症状が安定している患者について、医師の処方により、医療機関に行かずとも、医師及び薬剤師の適切な連携の下、一定期間内に処方箋を反復利用できる、分割調剤とは異なる実効的な方策を導入することにより、再診の効率化につなげ、その効果について検証を行う)

  ※4 うち、不妊治療の保険適用のための特例的な対応 +0.20%

  ※5 うち、小児の感染防止対策に係る加算措置(医科分)の期限到来 ▲0.10%

  なお、歯科・調剤分については、感染防止等の必要な対応に充てるものとする。

 (2)薬価等

  ①薬価 ▲1.35%

  ※1 うち、実勢価等改定 ▲1.44%

  ※2 うち、不妊治療の保険適用のための特例的な対応 +0.09%

  ②材料価格 ▲0.02%

厚生労働省令和4年度診療報酬改定の概要(全体概要版)P.2から引用

2.処方箋等の見直し

 (処方箋様式の見直しについて)

  症状が安定している患者について、医師の処方により医師及び薬剤師の適切な連携の下、一定期間内に処方箋を反復利用できるリフィル処方箋の仕組みを設け、処方箋の様式を見直す。

 (リフィル処方箋を使用した場合の処方箋料)

  リフィル処方箋により、当該処方箋の1回の使用による投与期間が29日以内の投薬を行った場合は、処方箋料における長期投薬に係る減算規定を適用しないこととする。

厚生労働省令和4年度診療報酬改定の概要(外来Ⅰ)P.9から引用

  ※リフィル処方箋の導入については、医業経営FPNews No.221でもご紹介しています。

3.オンライン資格確認システムを通じた患者情報等の活用に係る評価

 (電子的保健医療情報活用加算の新設) 

  オンライン資格確認システムを通じて患者の薬剤情報又は特定健診情報等を取得し、当該情報を活用して診療等を実施することに係る評価を新設する。

  ・初診料 (新)電子的保健医療情報活用加算   7点

  ・再診料 (新)電子的保健医療情報活用加算   4点

  ・外来診療料 (新)電子的保健医療情報活用加算 4点 

[対象患者]

 オンライン資格確認システムを活用する保険医療機関を受診した患者 

[算定要件]

  別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関を受診した患者に対して、健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認により、当該患者に係る診療情報等を取得した上で診療を行った場合は、電子的保健医療情報活用加算として、月1回に限りそれぞれ所定点数に加算する。

 (※) 初診の場合であって、健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認により、当該患者に係る診療情報等の取得が困難な場合又は他の保険医療機関から当該患者の診療情報の提供を受けた場合等にあっては、令和6年3月31日までの間に限り、3点を所定点数に加算する。 

[施設基準]

(1)オンライン請求を行っていること。

(2)電子資格確認を行う体制を有していること。

(3)電子資格確認に関する事項について、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。

厚生労働省令和4年度診療報酬改定の概要(外来Ⅰ)P.12から引用

 ※厚生労働省令和4年度診療報酬改定の概要(外来Ⅰ)P.13に、オンライン資格確認の準備作業についての案内も記載されていますので、ご参照ください。

4.外来感染対策向上加算の新設及び感染防止対策加算の見直し①

 診療所について、平時からの感染防止対策の実施や、地域の医療機関等が連携して実施する感染症対策への参画を更に推進する観点から、外来診療時の感染防止対策に係る評価を新設する。

  ・(新)外来感染対策向上加算 6点 (患者1人につき月1回)

[算定要件]

 組織的な感染防止対策につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関 (診療所に限る。)において診療を行った場合は、外来感染対策向上加算として、患者1人につき月1回に限り所定点数に加算する。

[主な施設基準] 

(1)専任の院内感染管理者が配置されていること。 

(2)少なくとも年2回程度、感染対策向上加算1に係る届出を行った医療機関又は地域の医師会が定期的に主催する院内感染対策に関するカンファレンスに参加していること。また、感染対策向上加算1に係る届出を行った医療機関又は地域の医師会が主催する新興感染症の発生等を想定した訓練について、少なくとも年1回参加していること。 

(3)新興感染症の発生時等に、都道府県等の要請を受けて発熱患者の外来診療等を実施する体制を有し、そのことについて自治体のホームページ により公開していること。

厚生労働省令和4年度診療報酬改定の概要(個別改定事項Ⅰ 感染症対策)P.3から引用

5.情報通信機器を用いた初診に係る評価の新設

・「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の見直しを踏まえ、情報通信機器を用いた場合の初診について、 新たな評価を行う。

・再診料について、情報通信機器を用いて再診を行った場合の評価を新設するとともに、オンライン診療料を廃止する。

 ・(新)初診料(情報通信機器を用いた場合)   251点

 ・(新)再診料(情報通信機器を用いた場合)   73点

 ・(新)外来診療料(情報通信機器を用いた場合) 73点

[算定要件](初診の場合)

(1)保険医療機関において初診を行った場合に算定する。ただし、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、情報通信機器を用いた初診を行った場合には、251点を算定する。

(2)情報通信機器を用いた診療については、厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って診療を行った場合に算定する。なお、この場合において、診療内容、診療日及び診療時間等の要点を診療録に記載すること。

(3)情報通信機器を用いた診療は、原則として、保険医療機関に所属する保険医が保険医療機関内で実施すること。なお、保険医療機関外で情報通信機器を用いた診療を実施する場合であっても、当該指針に沿った適切な診療が行われるものであり、情報通信機器を用いた診療を実施した場所については、事後的に確認可能な場所であること。

(4)情報通信機器を用いた診療を行う保険医療機関について、患者の急変時等の緊急時には、原則として、当該保険医療機関が必要な対応を行うこと。ただし、夜間や休日など、当該保険医療機関がやむを得ず対応できない場合については、患者が速やかに受診できる医療機関において対面診療を行えるよ う、事前に受診可能な医療機関を患者に説明した上で、以下の内容について、診療録に記載しておくこと。

  ア 当該患者に「かかりつけの医師」がいる場合には、当該医師が所属する医療機関名

  イ 当該患者に「かかりつけの医師」がいない場合には、対面診療により診療できない理由、適切な医療機関としての紹介先の医療機関名、紹介方法及び患者の同意 

(5)指針において、「対面診療を適切に組み合わせて行うことが求められる」とされていることから、保険医療機関においては、対面診療を提供できる体制を有すること。また、「オンライン診療を行った医師自身では対応困難な疾患・病態の患者や緊急性がある場合については、オンライン診療を行った医師がより適切な医療機関に自ら連絡して紹介することが求められる」とされていることから、患者の状況によって対応することが困難な場合には、ほかの医療機関と連携して対応できる体制を有すること。

(6)情報通信機器を用いた診療を行う際には、厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って診療を行い、当該指針において示されている一般社団法人日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診に適さない症状」等を踏まえ、当該診療が指針に沿った適切な診療であったことを診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。また、処方を行う際には、当該指針に沿って処方を行い、一般社団法人日本医学会連合が作成した 「オンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤」等の関係学会が定める診療ガイドラインを踏まえ、当該処方が指針に沿った適切な処方であったことを診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

[施設基準]

(1)情報通信機器を用いた診療を行うにつき十分な体制が整備されていること。

(2)厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って診療を行う体制を有する保険医療機関であること。

厚生労働省令和4年度診療報酬改定の概要(個別改定事項Ⅱ 情報通信機器を用いた診療)P.4から引用

(文責:税理士法人FP総合研究所)

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