【No250】紹介状を持たずに外来受診する患者等の「特別の料金」の額の引き上げについて

 令和4年10月1日から国の制度見直しにより、紹介状を持たずに外来受診する患者等の「特別の料金」の引き上げが行われます。そこで、今回は制度の趣旨・内容等についてご説明します。

1.制度の趣旨

 一部の病院に外来患者が集中し、患者の待ち時間や勤務医の外来負担等の課題が生じています。このため、国の制度により、一定規模以上の対象となる病院では、紹介状を持たずに外来受診した患者等から一部負担金(3割負担等)とは別に「特別の料金」を徴収することとしています。この制度について、令和4年10月より、対象病院を拡大するとともに、「特別の料金」の額を引き上げます。

厚生労働省「紹介状を持たずに特定の病院を受診する場合等の「特別の料金」の見直しについて」より引用

2.制度の内容

※2 新たに紹介受診医療機関になる病院の「特別の料金」については、紹介受診重点医療機関になってから半年間の経過措置があります。

※3 「特別の料金」の額には、消費税分が含まれます。消費税分を含めて、対象病院は上記の額以上の「特別の料金」を徴収します。

 「特別の料金」の対象となる患者は、基本的に他の医療機関からの紹介状を持たずに受診する患者となっています。ただし、対象とならない場合もあります。

厚生労働省「制度案内リーフレット」より引用

3.患者の支払いイメージ(医科、一部負担金3割負担、初診の「特別の料金」を5,000円から7,000円とする場合)

 上記の例の場合は、患者負担が見直し前の8,000円から9,400円に増加します。ただし、医療機関は保険組合等の保険給付から一定額を差し引くため収入額は見直し前と変更ありません。

厚生労働省「制度案内リーフレット」より引用

4.Q&A

Q1. 特定機能病院とは何ですか。

A. 高度医療の提供、高度医療技術の開発及び高度の医療に関する研修を実施する能力等を備えた病院です。大学病院等がこれにあたります。

Q2. 地域医療支援病院とは何ですか。

A. 救命医療や紹介患者に対する医療の提供等を行い、「かかりつけ医」等への支援を通じて地域医療の確保を図る病院です。

Q3. 紹介受診重点医療機関とは何ですか。

A. 医療法に基づき令和4年度から行われる外来機能報告を踏まえ、「地域の協議の場」において協議を行い、紹介患者の外来を基本とする医療機関として都道府県が公表した病院です。なお、令和4年度は、令和5年の3月頃に公表される予定です。 

Q4. 保険給付からの一定額の差し引きとは何ですか。

A. 例外的な・限定的な取扱いとして、紹介状も持たずに外来受診する患者等について、以下の額を保険給付から差し引くこととしています。

・初診:医科2,000円、歯科2,000円

・再診:医科500円、歯科400円

Q5.緊急時に受診する場合も、「特別の料金」の支払い対象となりますか。

A. 救急患者等については、医療機関は「特別の料金」を求めてはならないことにしています。また、自施設の他の診療科から院内紹介されて受診する患者等については、医療機関が「特別の料金」を求めても良いこととしています。詳細は以下をご参照ください。

『厚生労働省ホームページ』「制度案内リーフレット」

(文責:税理士法人FP総合研究所)